私のTwitterアカウントに掲載した(https://twitter.com/bk_yoo;2020年12月24日16:13)以下の内容(16連続ツイート)を、エッセイの形でブログにも掲載します。このレポートの全文は、私が参加する東大先端研の児玉龍彦名誉教授の研究グループのホームページに12月22日付けで掲載しました。https://www.ric.u-tokyo.ac.jp/topics/2020/ig.html
(1/16) 周囲に医療・介護分野で働く方、コロナ関連の政策に関与している方に、以下の私のレポートとスレッドを紹介頂ければ幸甚です。このレポートの目的は、関係者を説得して、医療・介護スタッフへの定期PCR検査を「収支改善のための投資」として支援・実施して頂く事です。https://www.ric.u-tokyo.ac.jp/topics/2020/ig-20201222-yoo.pdf
(2/16) このレポートは、実際にあった話を聞いて、頭に血がのぼった勢いで、2週間で作成しました。連日発熱患者を診る、3次救急に勤務する医師ですら、定期的なPCR検査を受けていません。その理由たるや、勤務先の医療機関が「無症状の医療スタッフ向けに定期的にPCR検査するカネが無い」です。
(3/16) 別の話は、さらに酷い。ある勤務医は、発熱し肺炎の診断があるにもかかわらず、PCR検査を受けられたのは発症後5日目でした。また、コロナ検査の補助をする看護師が、勤務先の病院がPCR検査をしてくれないという理由で退職したニュースが、新聞等で報じられています。https://www.yomiuri.co.jp/national/20201209-OYT1T50062/
(4/16) 私のブログに11月30日に掲載したように、日本のお粗末なコロナ対策は、コロナウイルス相手に完敗を続けており、「最後の防衛ラインである3次救急」と「最後の最後の防衛ラインである病院」の守りを早急に強化する必要があります。https://www.bkyoo.org/2020/11/30_1843.html
(5/16) しかし、上記の様に未だに(患者をケアする)医療スタッフを守ることに対し、日本政府は(中央・地方共)関心が低いだけでなく、赤字を増やしたくない医療機関等の管理者も消極的です。合理主義か、人道主義か、拝金主義のうち、少なくとも1つの主義があれば、本レポートに賛同頂ける筈です。
(6/16) これら3つのうち少なくとも1つの主義があると仮定することすら、買い被りかもしれません。何の主義も原則も無く、大勢が決するまで傍観している人にとって、私のレポートは無価値です。本レポートが届くことで、たとえ一医療機関・介護施設でも、スタッフに検査を開始して頂ければ、本望です。
(7/16) 以下はレポートからの抜粋です。本レポートの目的は、院内・施設内感染予防のため、症状の無いスタッフ全員を対象にする、定期的PCR検査の実施を提言することです。この定期的PCR検査への投資を渋っているうちに、クラスター発生に因り、大幅な経済的・人的損失が出る可能性があります。
(8/16) 12月12日付け西日本新聞で、日本政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会メンバーである舘田一博・東邦大医学部教授(日本感染染症学会理事長;長崎大学医学部卒)は、「患者や全ての医療スタッフを繰り返し検査することの有効性を強調するとともに、高齢者施設でも同じ対策が必要とした」。
(9/16)「現在のPCR検査への投資」と、「近い将来に起こり得るクラスタ―発生に因る、大幅な経済的損失」を天秤にかけることは、シミュレーション分析で可能。“投資回収率が1以上”の検査方針を実施すれば、貴院・施設に於いて、PCR検査への投資額以上に、今後の損失額を減額できる可能性が高くなります。
(10/16) 一例として、ある条件下の投資回収率(1.25)の解釈は、100万円支出して定期的PCR検査を実施すると、今後1年以内に125万円の損失を、確率的に削減できます。すなわち、定期的検査を実施しない場合に比べて、25万円(=125万円-100万円)の「純益」を、確率的に(期待値として)生むことが可能。
(11/16) 具体的なPCR検査費用、陽性者発見に伴う費用・損失額を基に、個々の医療機関・施設の投資回収率の推定に使えるシミュレーション結果を提示(表2)。表2の仮想例では、スタッフの検査陽性率が(損益分岐点である)0.50%以上であれば、投資回収率が1を上回ります。
(12/16) 医療機関・施設の投資回収率を1以上にする為に必要な、PCR検査実施後のスタッフ陽性率の最低限の閾値を、“損益分岐点”として提示(表2・3)。表2・3で想定した、スタッフの検査陽性率(損益分岐点)の範囲(0.1%∼9%)は、世田谷区の社会的検査(平均1.4%,1施設内で最大16%)に比べても妥当。
(13/16) (政策提言1)本レポートで詳述した、医療機関のスタッフの定期的検査を、時限的に国費で支援すべきです。支援方式は、PCR検査1回につき医療機関が3万円支受け取る、「出来高払い(上限は1人週3回まで)」にすべきです。
(14/16) (政策提言1の続き)この実施が容易な、時限的な診療報酬制度下では、3万円と検査費用の差額が損失補填になります。実施する検査数の多い優良医療機関が、より多くの「損失補填」を受けられるため、社会厚生の視点からも望ましいと考えられます。
(15/16) (政策提言2)医療機関スタッフの定期的検査で、無症状の陽性者が1人出る度に、スタッフへの直接給付として20万円、医療機関に追加補填として30万円以上を政府が支援すれば、陽性者の発見による追加的費用の懸念が減り、実施する検査数を増やす動機が、医療機関に於いて更に高まる筈です。
(16/16) 本レポートの投資率と損益分岐点の計算には、私が開発した医療経済学分析モデルを用いました。このモデルは、早稲田大学現代政治経済研究所のワーキングペーパー(WP)として公表しました。フルテキストへのリンクを含むWPのまとめは以下https://www.bkyoo.org/2020/11/11_1657.html
WPのフルテキストへのリンクは以下https://www.waseda.jp/fpse/winpec/assets/uploads/2020/10/J2002-1_version_p6_corrected.pdf