主要論文の要約
Szilagyi PG, Schaffer S, Rand CM, Goldstein NPN, Hightower AD, Younge M, Eagan A, Blumkin A, Albertin CS, DiBitetto K, Vincelli P, Yoo BK, Humiston SG, “School-Located Influenza Vaccination: Do Vaccine Clinics at School Raise Vaccination Rates?,” Journal of School Health. 2019 Dec;89(12):1004-1012. doi: 10.1111/josh.12840. Epub 2019 Oct 14. (PMID: 31612491) (Impact factor: 1.94)
本研究は、米国の小中高校で季節性インフルエンザ予防接種を提供するプログラム(SLIV)が予防接種率を引き上げるか否かを、大規模な無作為割付研究(介入グループのサンプル数2万4千人)を用いて検証した。米国ニューヨーク州の小中高校生のいる家庭にリマインダーを送付しただけの対照グループに比べ、介入グループ(リマインダーとSLIVの案内状を同時に送付)は、有意に高い予防接種率を示した。私は共著者として、研究デザインと論文改訂に貢献した。
Ito Y, Hara K, Yoo BK, Tomio J, Kobayashi Y. Can income-based co-payment rates improve disparity? The case of the choice between brand-name and generic drugs. BMC Health Serv Res. 2019 Nov 1;19(1):780. doi: 10.1186/s12913-019-4598-8. (PMID: 31675967) (Impact factor: 1.93)
本論文の筆頭著者のItoは、東京大学大学公衆衛生学教室の博士課程学生で、私が日本学術振興会の外国人招へい研究者として滞在した時(2015年)から、最終著者である小林廉毅教授と共同で博士論文を指導した。本研究は、日本の大規模自治体の医療保険レセプトデータを分析し、同じ有効成分を含む先発医薬品(新薬)と後発医薬品(ジェネリック)間の選択を検証した。具体的には、75歳以上の高齢者では、所得に応じて変化する処方箋薬の自己負担率(高額所得者のみ30%で、他は10%)が、新薬のアクセスに関する健康格差の是正に貢献したことを初めて実証的に証明した。私は共著者として、研究デザインと論文改訂に貢献した。
Yoo BK, Schaffer SJ, Humiston SG, Rand CM, Goldstein NPN, Albertin CS, Concannon C, Szilagyi PG. Cost effectiveness of school-located influenza vaccination programs for elementary and secondary school children. BMC Health Serv Res. 2019 Jun 24;19(1):407. doi: 10.1186/s12913-019-4228-5. (PMID: 31234842) (Impact factor: 1.93)
私自身の先行研究である2つの論文(Yoo et al., 2013, Vaccine; Yoo et al., 2015, BMC Health Services Research)は、季節性インフルエンザ予防接種を学校で提供する大規模な無作為割付研究のそれぞれ1年目と2年目の費用対効果分析の結果のみを報告)と同じ研究の3年目の費用対効果分析の結果を、本論文では報告した。これら2つの先行研究と異なり、本研究は研究対象に高校生を含めた。更に、本研究の費用対効果分析は、学校で予防接種を提供することが、同じ地域の医療機関で提供される予防接種率に与えた影響(波及効果)も考慮した結果、「学校で予防接種を提供するプログラム」の費用対効果が改善することを示した。
Szilagyi PG, Schaffer S, Rand CM, Goldstein NPN, Younge M, Mendoza M, Albertin CS, Concannon C, Graupman E, Hightower AD, Yoo BK, Humiston SG, “Text Message Reminders for Child Influenza Vaccination in the Setting of School-Located Influenza Vaccination: A Randomized Clinical Trial.” Clin Pediatr (Phila). 2019 Apr;58(4):428-436. doi: 10.1177/0009922818821878. Epub 2019 Jan 2. (PMID: 30600690) (Impact factor: 1.41)
本研究は、米国ニューヨーク州の季節性インフルエンザ予防接種を学校で提供するプログラム(SLIV)を大規模な無作為割付研究で検証した一連の研究の一つである。この研究では、小学校で実施したSLIVでの予防接種率を引き上げるための、複数のリマインダーを比較した。対照グループ(生徒が持ち帰る紙のリマインダーと電話のリマインダー)に比べ、介入グループ(携帯電話へのテキストメッセージを3種類目のリマインダーとして追加)は、有意に高い予防接種率を認めなかった。私は共著者として、研究デザインと原稿改訂に貢献した。
Szilagyi PG, Schaffer S, Rand CM, Goldstein NPN, Hightower AD, Younge M, Eagan A, Blumkin A, Albertin CS, DiBitetto K, Concannon C, Vincelli P, Yoo BK, Humiston SG, “Impact of Elementary School-Located Influenza Vaccinations: A Stepped Wedge Trial Across a Community,” Vaccine, 2018 May 11;36(20):2861-2869. Epub 2018 Apr 17. (PMID: 29678459) (Impact factor: 3.24)
本研究は、季節性インフルエンザ予防接種を学校で提供するプログラム(SLIV)を、米国ニューヨーク州で実施した大規模な無作為割付研究を用いて検証した一連の研究のうち、小学校でのSLIVの1年目と2年目の「効果のみ」を報告した。この研究では、小学校で実施したSLIVが、1年目と2年目共に予防接種率を有意に引き上げた「効果」を重回帰分析で実証的に証明した。この効果が都市部の学校と郊外の学校で異なることも示した。私は共著者として、研究デザインと原稿改訂に貢献した。
Zaitsu M, Yoo BK, Tomio J, Nakamura F, Toyokawa S, Kobayashi Y, “Impact of a direct-to-consumer information campaign on prescription patterns for overactive bladder,” BMC Health Serv Res, 2018 May 3;18(1):325. (PMID: 29724205) (Impact factor: 1.83)
Mentored the first author’s PhD dissertation study (in Department of Public Healthy and Policy, the University of Tokyo, Tokyo, Japan) between July 2015 and May 2018.
本論文の筆頭著者のZaitsuは、東京大学大学公衆衛生学教室の博士課程学生で、私が日本学術振興会の外国人招へい研究者として滞在した時(2015年)から、最終著者である小林廉毅教授と共同で博士論文を指導した。本研究は、日本の大規模自治体の医療保険レセプトデータを分析し、患者の処方薬(過活動膀胱の治療薬)に対する需要をテレビ広告(Direct-to-consumer information (DTCI))が上昇させた効果を、実証的に定量化した最初の研究である。
Szilagyi PG, Schaffer S, Rand CM, Goldstein NPN, Vincelli P, Hightower AD, Younge M, Eagan A, Blumkin A, Albertin CS, DiBitetto K, Yoo BK, Humiston SG, “School-located Influenza Vaccinations for Adolescents: A Randomized Controlled Trial,” J Adolesc Health, 2018 Feb;62(2):157-163. Epub 2017 Dec 13. (PMID: 29248390) (Impact factor: 3.97)
本研究は、米国ニューヨーク州の季節性インフルエンザ予防接種を学校で提供するプログラム(SLIV)を大規模な無作為割付研究で検証した一連の研究の一つである。この研究では、中学校・高校で実施したSLIVが、予防接種率を有意に引き上げた「効果」を重回帰分析で実証的に証明した。この効果は、都市部の学校の方が、郊外の学校よりも大きいことも示した。SLIVが、同じ地域の医療機関での予防接種率を上昇させた波及効果も認めた。私は共著者として、研究デザインと原稿改訂に貢献した。
Yoo BK, Kim M, Sasaki T, Hoch J, Marcin JP, “Selected use of telemedicine in intensive care units based on severity of illness improves cost-effectiveness,” Telemedicine and e-Health, 2018 Jan;24(1):21-36. Epub 2017 Jun 29. (PMID: 28661790) (Impact factor: 1.79)
本研究は、私自身の先行研究(Yoo et al., 2016, Critical Care Medicine)の続編である。米国の集中治療室(ICU)における遠隔医療(Tele-ICU)の費用対効果分析結果に大きな影響を与える因子が2つある。一つ目の因子である「遠隔医療を受ける患者の(遠隔医療を受けない場合の、年齢や慢性疾患の有無に基づく)死亡率」が高いほど、遠隔医療の経済効率は改善する。その一方で、遠隔医療を受ける患者を、(遠隔医療を受けない場合の、年齢や慢性疾患の有無に基づく)死亡率が高い患者のみに限定すると、2つ目の因子である「遠隔医療を受ける患者一人当たりの、遠隔医療を実施するための費用」が上昇し、その結果、遠隔医療の経済効率は悪化してしまう。このトレード・オフ関係下での、患者の臨床的重症度に基づく、最適な患者の限定方法を、シミュレーションで推定した。
Yoo BK, Hasebe T, Kim M, Sasaki T, Styne DM, “Pilot survey of a novel incentive to promote healthy behavior among school children and their parents,” Preventive Medicine Reports, 2017 Mar 29;6:286-293. (PMID: 28409091) (Impact factor: 0.33)
近年の肥満率の上昇は先進国で広く見られるが、とりわけ米国の社会的弱者のグループで顕著である。肥満が健康を損なうだけでなく、医療費増加にも寄与する為、肥満予防は米国の医療経済学の重要なテーマである。この分野の過去の医療経済学に基づく介入研究の多くは、肥満予防プログラムの参加者に、経済的インセンティブ(例:5㎏痩せれば、5千円の商品券がもらえる)を与えれば減量するはず、という仮説に基づいている。しかし、この仮説は殆ど全ての先行研究によって否定された。私は、先行研究の全くない、革新的な経済的インセンティブ(“コミュニティ・インセンティブ”)を創案した。“コミュニティ・インセンティブ”下では、肥満予防プログラムの参加者が減量に成功すれば、参加者が関わるコミュニティ(例:参加者の子供が通う学校)に、(プログラム基金からの)5千円を寄付できる。“コミュニティ・インセンティブ”を用いる肥満予防プログラムに、将来参加する意思があるかについて、カリフォルニア州の社会的弱者のグループが大多数の小学校の保護者を対象に、パイロット調査を実施した。この調査では、“コミュニティ・インセンティブ”を用いる肥満予防プログラムに対し、多くの参加者(特にハイリスク因子を持つ個人)が期待できることが示唆された。
Yoo BK, Kim M, Sasaki T, Ward D, Spetz J, “The impact of economic recession on registered nurse workforce supply in California,” Nursing Economics, 2017, Jan-Feb;35(1):21-29 (PMID: 29984947) (Impact factor: 0.93)
本研究は、米国を含め世界的に深刻な景気後退(2008年から2012年)が、米国の正看護師(Registered Nurse (RN))の労働力供給に与えた影響を定量化した。全米最大のカリフォルニア州のRNを代表するビッグデータを分析した。景気後退は、RNとしての職歴が長いRNが(離職状態から)復職する確率を上昇させたことを、実証的に証明した。その一方で、新たに卒業したRNの就職率が低下したことも認められた。
Szilagyi PG, Schaffer S, Rand CM, Vincelli P, Eagan A, Goldstein NP, Hightower AD, Younge M, Blumkin A, Albertin CS, Yoo BK, Humiston SG. “School-Located Influenza Vaccinations: A Randomized Trial,” Pediatrics, 2016 Nov;138(5). pii:e20161746, (PMID: 27940785) (Impact factor: 5.20)
私自身の先行研究であるYoo et al., 2013, Vaccine(大規模な無作為割付研究の1年目のみの費用対効果分析を報告)とYoo et al., 2015, BMC Health Services Research(2年目の費用対効果分析の結果を報告)に続き、本論文では同じ研究の3年目の結果のうち「効果のみ」を報告した。保護者からの同意書を取得する為の事務的なコストを引き下げる目的で、Webベースと紙の両方の同意書を使用した。3年目の介入に於いても、学校で季節性インフルエンザワクチン接種を提供することで、対象人口の予防接種率が有意に上昇した。私は共著者として、研究デザインと論文改訂に貢献した。
Yoo BK, Kim M, Lin TC, Sasaki T, Ward D, Spetz J, “The effect of prior healthcare employment on the wages of registered nurses,” BMC Health Services Research, 2016 Aug 19;16(1):412. (PMID: 27542375) (Impact factor: 1.61)
私自身の先行研究であるYoo et al., 2016, Nursing Economicsの続編といえる論文である。本研究も、ビッグデータの一つである、全米を代表する正看護師(Registered Nurse (RN))の調査データ(NSSRN;加重サンプル数3百万以上)を分析した。本研究は、RNの資格を取得する以前に(RN以外の)医療職で働いた職歴のある人にとって、RNの資格を取得後の「RNとしての賃金」が年齢と共にどのように変化するかを検証した。RNの資格を(2年制の短期大学や3年制の専門学校に比べ)4年制の大学で取得した場合、RNとしての賃金上昇率が高いことを実証的に証明した。
Yoo BK, Kim M, Sasaki T, Melnikow J, Marcin JP, “Economic evaluation of telemedicine for patients in ICUs,” Critical Care Medicine, 2016 Feb;44(2):265-74, (PMID: 26540398) (Impact factor: 7.42)
Selected as a featured article with the journal editor’s comment (Crit Care Med. 2016 Feb;44(2):441-2. PMID: 26771788) in the published issue. Also, invited for the journal’s podcast (interview by a journal editor)
私の研究は、米国の集中治療室(ICU)における遠隔医療(Tele-ICU)の費用対効果分析(日本の厚生労働省が今年から導入した「医療技術評価(Health Technology Assessment(HTA))」の分析手法)を、米国医療経済学Expert Panelの最新の指針(Sanders et al., 2016, JAMA)に沿って行った最初の研究である。Tele-ICUは、ICU専門医と遠隔地の病院のICUの間のコミュニケーションを、audiovisualネットワークを用いて行うもので、米国で急速に普及している。本研究は、Tele-ICUが多くの場合、費用対効果の価値が高く、医療費削減になる場合もあることを示した。本研究の掲載時には、同誌の編集者のコメント(Crit Care Med. 2016 PMID: 26771788)を含むfeatured articleに選ばれた上、同誌編集者から受けた私のインタビューはポッドキャストとして同誌のウェブサイトに掲載された。本論文は、同僚の臨床医からの疑問を、医療経済学の研究仮説に「翻訳」できれば、2次データのみ用いた研究でも高いインパクト・ファクターを有する臨床医学系の学術誌に掲載できる一例である。本研究以外にも、UC Davisの小児科・精神神経科の医師らと、遠隔医療の費用対効果分析の論文を現在3本執筆中。
Yoo BK, Lin TC, Kim M, Sasaki T, Spetz J, “Effect of prior health-related employment on the registered nurse workforce supply,” Nursing Economics, 2016 Jan-Feb;34(1):25-34, (PMID: 27055308) (Impact factor: 0.93)
日本と同様、米国の正看護師(Registered Nurse (RN))は、高い転職率で知られており、RN労働力の供給を予測することは政策立案上、重要である。本研究は、ビッグデータの一つである、全米を代表するRNの調査データ(NSSRN;加重サンプル数3百万以上)を分析した。本研究は、RNの資格を取得する以前に(RN以外の)医療職で働いた職歴のある人は、そのような職歴のない人に比べ、高い確率でRNとして継続して働く上、RNとしての労働時間も長かったことを実証的に証明した最初の研究である。この論文の最終著者であるUCSFのJoanne Spetz教授は、看護経済学の分野で最も論文の多い経済学者である。
Yoo BK, Humiston SG, Szilagyi PG, Schaffer SJ, Long C, Kolasa M, “Cost effectiveness analysis of Year 2 of an elementary school-located influenza vaccination program – Results from a randomized controlled trial,” BMC Health Services Research, 2015 Nov 16;15:511, (PMID: 26573461) (Impact factor: 1.61)
私自身の先行研究であるYoo et al., 2013, Vaccine(大規模な無作為割付研究の1年目の結果のみを報告)と同じ研究の2年目の結果を、本論文では報告した。研究1年目は、偶然、大規模なパンデミックインフルエンザが米国で発生したため、研究結果の外的妥当性(普遍性)が比較的低いと考えられる。研究2年目の結果は、おおむね1年目の研究に近い結果が得られた。すなわち、季節性インフルエンザ予防接種は、学校で提供する方が、医療機関で提供するよりも、予防接種を受けた小児一人当たり高額になった。学校での予防接種が高額になった理由の一つは、保護者からの同意書を取得するための事務的なコストが大きかった為である。
Yang NH (mentored PhD student in Epidemiology), Dharmar M, Yoo BK, Leigh JP, Kuppermann N, Romano PS, Nesbitt TS, Marcin JP, “Economic Evaluation of Pediatric Telemedicine Consultations to Rural Emergency Departments,” Medical Decision Making, 2015 Aug;35(6):773-83 (PMID: 25952744) (Impact factor: 2.91)
Mentored the first author’s part of a PhD (in epidemiology) dissertation study, who took my course (“Economic Evaluation in Health Care” (SPH 274)) and received the 2013 Student Paper Award from the American Telemedicine Association for this paper’s earlier version.
米国の地方病院の救急部では、小児科救急医療専門医が不足している。それ故、高額な遠隔医療システムを通じて、3次救急施設(大学病院等)から地方病院の救急部に、リアルタイムで治療上のアドバイスを行うことが米国は普及しつつある。本研究は、遠隔医療システムの厳格な経済評価を行った最初の研究の一つである。この研究は、遠隔医療システムが医療費削減を実現する可能性が高いことを、シミュレーションに基づいて示した。筆頭著者のYangは、私がUC Davis勤務中に、博士課程の学生として指導した。筆頭著者は、本論文の発表で、米国遠隔医療学会から優秀学生論文賞を受賞した。
Kim M, Yoo BK (corresponding author), “Cost-effectiveness analysis of a television campaign to promote seasonal influenza vaccination among the elderly,” Value in Health, 2015 Jul;18(5):622-630, (PMID: 26297090) (Impact factor: 3.82)
Mentored as the first author’s post-doctoral fellow training.
他の研究でも言及した通り、米国高齢者では、人種・民族マイナリティの季節性インフルエンザワクチン接種率が低いことが、健康格差の一例として知られている。本研究は、季節性インフルエンザワクチン接種率の改善を目的とした、米国の主要テレビネットワークでの広告キャンペーンの費用対効果分析を行った。この分析モデル開発の為、全米の高齢者を代表するビッグデータを分析した。テレビでの広告キャンペーンは、費用対効果の望ましい基準を満たすと結論付けられた。しかし、マイナリティで英語を第一言語としない高齢者は、英語を用いる米国の主要テレビネットワークを視聴しないため、人種・民族間の健康格差が悪化することも認められた。政策提言として、将来の大規模なワクチン接種テレビキャンペーンは、多言語で行うべきであると提案した。筆頭著者のKim(現在、米国Illinois大学Peoria校医学部、研究助教授)は、私がUC Davis勤務中に、ポスドクとして指導した。
Yoo BK, Hasebe T, Szilagyi PG, “Decomposing Racial/Ethnic Disparities in Influenza Vaccination among the Elderly,” Vaccine, 2015 Jun 12; 33(26):2997-3002, (PMID: 25900133) (Impact factor: 3.41)
米国高齢者人口では、人種・民族マイナリティの季節性インフルエンザワクチン接種率が低いことが、健康格差の一例として知られている。この健康格差の原因としては、所得・教育レベル・医療保険等、多くの要因が寄与している。本研究は、これら複数の要因の寄与率を個々の要因ごとに定量化する為、計量経済学の最先端手法である非線形オハカ・ブラインダー分解法を用いて分析した。これらの研究成果は、健康格差の解消を目指す公共政策の立案・目標設定に寄与することが期待される。第二著者のHasebe(現在、上智大学准教授(経済学))は、私がUC Davis勤務中に、ポスドクとして指導した。
Szilagyi PG, Albertin CS, Humiston SG, Rand CM, Schaffer SJ, Brill H, Stankaitis J, Yoo BK, Blumkin AK, Stokley S, “A Randomized Trial of the Effect of Centralized Reminder/Recall on Immunizations and Preventive Care Visits for Adolescents,” Academic Pediatrics, May-Jun 2013;13(3):204-213, (PMID: 23510607) (Impact factor: 2.40)
米国の低所得家庭の青少年は、予防接種率と予防的なプライマリーケア受診率が低いことで知られている。本研究は、これらの予防接種率と予防的なプライマリーケア受診率を改善するために、青少年のいる低所得家庭に、電話と葉書を用いたリマインダー介入を、無作為化対照試験として実施した最初の研究の1つである。本研究では、リマインダー介入の望ましい効果を認めた。共著者として、研究計画の開発、統計分析方法の決定、分析データの解釈、原稿作成に貢献した。
Yoo BK, Humiston SG, Szilagyi PG, Schaffer SJ, Long C, Kolasa M, “Cost effectiveness analysis of elementary school-located vaccination against influenza—Results from a randomized controlled trial,” Vaccine, 2013 Apr 19;31(17):2156-2164, (PMID: 23499607) (Impact factor: 3.77)
(NOTE: Media coverage includes U.S. News & World Report, San Francisco Chronicle and 139 media outlets in total; Press release by UC Davis: http://www.ucdmc.ucdavis.edu/publish/news/newsroom/7871
私の研究は、学校で行うインフルエンザ予防接種プログラムの費用対効果分析を、大規模な(n = 9027)無作為割付研究から得られた一次データ用いて行った。米国ではインフルエンザ予防接種を学校で行うのは、日本と異なり、様々な制約故に非常に珍しく、本研究はVaccine (impact factor:3.77、免疫分野の151学術誌中のランキング14位)に掲載された後、UC Davisがプレスリリースを行い、US News & World Reportを含む139のマスメディアに取り上げられた。
(Note:この論文は米国のメディアに数多く取り上げられた(以下詳述)
Media coverage includes U.S. News & World Report,
San Francisco Chronicle and 139
Media outlets in total; Press release by UC Davis: http://www.ucdmc.ucdavis.edu/publish/news/newsroom/7871)
Holland ML, Yoo BK, Kitzman H, Chaudron L, Szilagyi PG, Temkin-Greener H, “Mother-Child Interactions and the Associations with Child Healthcare Utilization in low-income urban families,” Maternal and Child Health Journal, 2012, 16(1), 83-91 (PMID: 21127953) (Impact factor: 1.77)
米国都市部の低所得家庭は、外来受診率が低いが、入院率と救命救急受診率が高いことを過去の研究が示している。本研究は、米国都市部の低所得家庭における母子相互作用(学術的に確立した複数の心理学的方法を用いて測定)と小児患者の医療利用率との相関関係を、計量的に推定した最初の研究である。筆頭著者のHollandは、私がRochester大学勤務中に、博士課程の学生として指導した。
Holland ML, Yoo BK, Kitzman H, Chaudron L, Szilagyi PG, Temkin-Greener H., “Self-Efficacy as a Mediator between Maternal Depression and Child Hospitalizations in low-income urban families,” Maternal and Child Health Journal 2011; 15(7): 1011-1019 (PMID: 20706866) (Impact factor: 1.77)
本研究の目的は、母親の(心理学的)自己効力感(Self-Efficacy)の役割を定量化することである。母親のうつ症状の悪化と、子供の入院率は正の相関があることを過去の研究は示唆している。この相関関係に、母親の(心理学的)自己効力感が影響を及ぼすことを、初めて実証的に証明したのが本研究である。うつ病の母親の自己効力感の改善を目指す介入を、小児入院を減少させる政策として提言した。筆頭著者のHollandは、私がRochester大学勤務中に、博士課程の学生として指導した。
Ikegami N, Yoo BK, Hashimoto H, Matsumoto M, Ogata H, Babazono A, Watanabe R, Shibuya K, Yang BM, Reich MR, Kobayahsi Y, “Japanese Universal Health Coverage: Evolution, Achievements, and Challenges,” Lancet, 2011 Sep 17;378(9796):1106-1115, (PMID: 21885107) (Impact factor: 33.63)
本論文で唯一のオリジナルなデータ分析は、私が具体的な研究仮説・データ分析手法を提案し、データ分析結果の解釈の初稿を担当し、他の共著者と解釈の改訂を行った。私が提案したデータ分析の目的は、日本の医療保険制度改革の一案として、約3500の保険者組織を統合する4つのシナリオの比較を、医療経済学的観点から行った。データ分析には日本全国レベルのレセプトデータを用いた。一人当たりの医療費の(統計学的)分散(小さい方が、保険料の正確な予想が可能になるため、経済学的に効率が高い)を4つのシナリオ間で比較し、都道府県ごとに地方自治体国保(更に可能なら被用者保険も)を統合することを政策提言した。また、推定した一人当たりの医療費の分散を基に、人口の多い上位9都道府県は、都道府県内で全保険者組織を統合できれば、経済学的な意味での最適サイズに達すると結論付けた。本論文は、Lancet 日本特集の一論文として掲載され、英文掲載後に公式な日本語訳も出版された。
Yoo BK, Kasajima M, Phelps CE, Fiscella K, Bennett NM, Szilagyi PG, “Influenza Vaccine Supply and Racial/Ethnic Disparities in Vaccination Among the Elderly,” American Journal of Preventive Medicine, 2011 Jan; 40(1):1–10, (PMID: 21146761) (Impact factor: 4.24)
(NOTE: Media coverage includes UPI, e!Science News, Science Daily, Medical News Today, SCIENCE CENTRIC, etc.; Selected as one of two articles (in January 2011 issue) by editors to be available free online for all readers. Also, selected to be part of the continuing medical education program for physicians who read this journal.)
私の研究は、米国内でインフルエンザ・ワクチンの供給が減少した場合、人種・民族間の健康格差(予防接種率の格差)が悪化することを計量的に示した最初の研究である。本研究は、米国で唯一の公的皆保険制度であるMedicare(65歳以上の全国民対象)のレセプトデータと調査データを突合したいわゆるBig Data(加重サンプル数の合計が3000万人以上)を分析した。掲載誌(Impact factor: 4.24)は米国予防医学学会(the American College of Preventive Medicine and the Association for Prevention Teaching and Research)の公式ジャーナルであり、私の研究は掲載された号(January 2011 Issue)ではインパクトが高い故に無料で公開される(各号で2論文のみ)論文の1つに選ばれただけでなく、米国予防医学専門医の教育プログラムの必読文献にも選ばれた。
プレスリリース後、この論文は米国のメディアに数多く取り上げられた(以下詳述):United Press International (UPI), e!Science News, Science Daily, Medical News Today, SCIENCE CENTRIC, etc。
Yoo BK, Berry A, Kasajima M, Szilagyi PG, “Association between Medicaid reimbursement and child influenza vaccination rates,” Pediatrics 2010, Nov;126(5):e998-1010. Epub 2010 Oct 18. (PMID: 20956412) (Impact factor: 4.69)
(NOTE: Media coverage includes USA Today, U.S. News & World Report, Bloomberg BusinessWeek, UPI, Reuters, ABC News, MSNBC, Fox News, Yahoo!, e!Science News, News-Medical.Net, Softpedia, Health News on healthfinder (U.S. Department of Health and Human Services), etc.)
私の研究は、米国内でインフルエンザ予防接種を行う医師に対する診療報酬の金額を低く設定すると、予防接種率が悪化することを計量的に示した最初の研究である。本研究が分析したのは、全米を代表する小児サンプル(加重サンプル数の合計が3年間で約1千万人;ビッグデータの一つ)を含むNational Immunization Surveys (NIS) Dataである。掲載後、全米地上波4大テレビ・ネットワークのうち3つ(ABC News, MSNBC, Fox News)、全米最大の発行部数を持つ新聞である USA Today、Reuters(ロイター通信からはインタビューも受ける)など多くのメディアに取り上げられた。私の研究の政策インパクトの一例として、民間医療保険機関で構成される全米最大の保険者団体が、私の研究を根拠に、インフルエンザ予防接種を行う全米の医師に対する診療報酬の金額を引き上げた事が挙げられる。
Yoo BK, Holland ML, Bhattacharya J, Phelps CE, Szilagyi PG, “Effects of Mass Media Coverage on Timing and Annual Receipt of Influenza Vaccination among Medicare Elderly,” Health Services Research, 2010 Oct;45(5 Pt 1):1287-309 (PMID: 20579128) (Impact factor: 2.41)
(NOTE: Media coverage includes Science Daily, and (interviewed by) KCSN radio station in California and DOTmed News)
私の研究は、全米4大テレビ・ネットワーク、主要な新聞を含むマスメディアで、インフルエンザがニュースとして取り上げられると、その直後に全米で、予防接種率が向上することを計量的に示した最初の研究である。本研究は、米国で唯一の公的皆保険制度であるMedicare(65歳以上の全国民対象)のレセプトデータと調査データを突合したいわゆるBig Data(加重サンプル数の合計が6600万人以上)を分析した。掲載誌(Impact factor: 2.41)は米国の医療経済学・政策学の学会では最も歴史の古い学会(1981年に設立)であるThe Association for Health Services Research (2000年にAcademyHealthに名称変更)の公式ジャーナルである。
(Note: 掲載誌は米国の医療経済学・政策学の学会では最も歴史の古い学会(1981年に設立)であるThe Association for Health Services Research (平成12年にAcademyHealthに名称変更)の公式ジャーナル。) この論文は米国のメディアに数多く取り上げられ、ラジオ局からのインタビューも受けた(以下詳述): Media coverage includes Science Daily, and (interviewed by) KCSN radio station in California and DOTmed News)
Yoo BK, Kasajima M, Bhattacharya J, “Public Avoidance and the Epidemiology of novel H1N1 Influenza A,” National Bureau of Economic Research Working Paper, w15752, National Bureau of Economic Research (NBER), Cambridge, MA, February 2010, (http://www.nber.org/papers/w15752)
(Note: The NBER is the nation's leading nonprofit economic research organization. Sixteen of the 31 American Nobel Prize winners in Economics and six of the past Chairmen of the President's Council of Economic Advisers have been researchers at the NBER.)
従来のパンデミックを予想する数学シミュレーションモデルは、生物学的感染要因のみを考慮していた。本研究は、追加的に経済学的個人行動要因を、パンデミック・インフルエンザの数学シミュレーションモデルに考慮した最初の研究である。私が開発したパンデミック被害予想モデルは、従来のモデルに比べ、2009年4月に米国で始まったパンデミックの流行をより正確に予想できた。またパンデミック発生後の、様々な公共政策の効果をシミュレーションモデルを基に推定・比較した。National Bureau of Economic Research (NBER) Working Paperは、経済学の分野で最も権威のあるワーキングペーパーシリーズである。米国のノーベル経済学賞受賞者31名のうち16名が、大統領経済顧問会議の元議長のうち6名がNBERで研究を行っている。
Yoo BK, Szilagyi PG, Schaffer SJ, Humiston SG, Rand CM, Albertin CS, Vincelli P, Blumkin AK, Shone LP, Coleman MS, “Cost of Universal Influenza Vaccination of Children in Pediatric Practices,” Pediatrics, 2009 Dec;124 Suppl 5:S499-506 (PMID: 19948581) (Impact factor: 4.69)
(Note: Cited by CDC’s Guideline: Fiore AE, Uyeki TM, Broder K, Finelli L, Euler GL, Singleton JA, Iskander JK, Wortley PM, Shay DK, Bresee JS, Cox NJ; Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Prevention and control of influenza with vaccines: recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP), 2010. MMWR Recomm Rep. 2010 Aug 6;59(RR-8):1-62. Erratum in: MMWR Recomm Rep. 2010 Aug 13;59(31):993. MMWR Recomm Rep. 2010 Sep 10;59(35):1147. PubMed PMID: 20689501)
私の研究は、米国内で一次データを医療機関(n=90)から収集したデータと全国規模の2次データを、数学シミュレーションを用いて分析し、インフルエンザ予防接種を行う小児科の医療機関が負担する2種類の費用(1.予防接種を受けた患者一人当たりのコスト、2.全米の小児科医療機関が低い診療報酬故に負担する損失額)を推定した。掲載誌(Impact factor: 4.69)は、米国小児科学会の公式ジャーナルである。米国連邦政府機関であるGovernment Accountability Office (GAO)は、定期的に米国大統領が連邦予算決定の政策判断をする際に参考にすべき、厳密な科学的資料を選定して、米国大統領に提出している。私の研究は、GAOからその資料に選定された。また、米国のみならず国際的にも、インフルエンザ予防接種についてのガイドラインである、 Centers for Disease Control and Prevention(CDC)が出版するPrevention and Control of Influenza with Vaccines Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)(https://www.cdc.gov/mmwr/pdf/rr/rr5908.pdf)にも引用された。
(Note: 掲載誌は、米国小児科学会の公式ジャーナル;CDC’s Guidelineに引用された: Fiore AE, Uyeki TM, Broder K, Finelli L, Euler GL, Singleton JA, Iskander JK, Wortley PM, Shay DK, Bresee JS, Cox NJ; Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Prevention and control of influenza with vaccines: recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP), 2010. MMWR Recomm Rep. 2010 Aug 6;59(RR-8):1-62. Erratum in: MMWR Recomm Rep. 2010 Aug 13;59(31):993.MMWR Recomm Rep. 2010 Sep 10;59(35):1147. PubMed PMID: 20689501)
Yoo BK, Kasajima M, Fiscella K, Bennett N, Phelps CE, Szilagyi PG, “Effects of an Ongoing Epidemic on the Annual Influenza Vaccination Rate and Vaccination Timing among the Medicare Elderly: 2000-2005,” American Journal of Public Health, 2009, October; 99:S383–S388 (PMID: 19797752) (Impact factor: 4.37)
私の研究は、インフルエンザの流行レベルがある地域で高くなると、その2週間後に、その地域での予防接種率が向上することを、全米規模のデータを用いて計量的に示した最初の研究である。本研究は、米国で唯一の公的皆保険制度であるMedicare(65歳以上の全国民対象)のレセプトデータ、調査データと疫学データを突合したいわゆるBig Data(加重サンプル数の合計が5年間で約8000万)を分析した。
Yoo BK, and Grosse S, “The Cost-Effectiveness of Screening Newborns for Congenital Adrenal Hyperplasia,” Public Health Genomics, 2009;12(2):67-72. (PMID: 19039250) (Impact factor: 1.32)
本研究は、米国の新生児人口における、先天性副腎過形成(congenital adrenal hyperplasia (CAH))に対する新生児検診の費用対効果を評価することである。「検診なし」と比較して、CAH検診の費用対効果比(incremental cost-effectiveness ratio (ICER))を推定した。医療経済学で用いられる一般的な費用対効果の閾値基準を適応すると、CAH検診は望ましい費用対効果の基準を満たさないと結論付けられた。米国の医療分野より広義の公共政策分野の経済評価で用いられる、他の閾値基準を適応すると、CAH検診は望ましい経済効率基準を満たすことも示した。
Rand CM, Szilagyi PG, Yoo BK, Auinger P, Albertin C, Coleman MS, “Additional Visit Burden for Universal Influenza Vaccination of U.S. School-Aged Children and Adolescents,” Archives of Pediatrics and Adolescent Medicine, 2008 Nov;162(11):1048-55. (PMID: 18981353) (Impact factor: 4.73)
本研究は、全米のすべての小児に対する季節性インフルエンザワクチン予防接種を、プライマリーケア医療機関のみで提供する可能性を検討した研究である。2003年時点で、小児患者がプライマリーケア医療機関の外来受診時を全て活用しても、すべての小児に予防接種を行うことは不可能であることを、全米レベルのビッグデータを用いて、実証的に証明した。政策提言として、具体的に必要な追加外来受診の数を推定した他、プライマリーケア医療機関以外の場所で予防接種を行うことを提言した。共著者として、研究計画特に統計学分析手法の選択・決定、データ分析の解釈に貢献した。
Yoo BK and Frick K, “The Instrumental Variable Method to Study Self-selection Mechanism: A Case of Influenza Vaccination,” Value in Health, 2006 Mar-Apr;9(2):114-22 (PMID: 16626415) (Impact factor: 3.03)
(Note: Cited by Editorial Article in New England Journal of Medicine: Treanor JD, “Influenza--the goal of control,” N Engl J Med. 2007 Oct 4;357(14):1439-41.)
私の研究は、インフルエンザ・ワクチンの臨床的効果を、経済学の先端的な統計手法であるInstrumental Variable (IV) Method(この手法を開発した功績でHeckmanは2000年にノーベル経済学賞を受賞)を用いて分析した最初の研究である。本研究のサンプルは、Medicare Current Beneficiary Survey (MCBS) Data(加重サンプルが3千万人以上のいわゆるビッグデータ)上述のMCBS Data(加重サンプルが3千万人以上)から抽出した。全米を代表するサンプルでは、無作為化対照試験とは異なり、健康状態が悪い人程ワクチンをの接種率が高い傾向があるため、従来の重回帰分析ではバイアスが生じ、「ワクチンが入院率を悪化させる」という誤った結論が出る。無作為化対照試験であっても、被験者が研究期間が終了する前に脱落することは頻回にみられ、脱落によるバイアスを補正するためにもIV Methodは、現在米国の医療分野で広く用いられている。私の研究は、New England Journal MedicineのEditorial Articleにも引用された(Treanor JD, “Influenza--the goal of control,” N Engl J Med. 2007 Oct 4;357(14):1439-41.)。本研究の掲載誌は、現在、医療経済学分野の国際学会では最大の個人会員(2万人以上)を擁する、International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research(ISPOR)の公式ジャーナルである(Impact factor: 5.49;Health Policy & Services分野の79学術誌中のランキング3位;経済学分野の353学術誌中のランキング6位)。
Yoo BK and Frick K, “Determinants of Influenza Vaccination Timing,” Health Economics, 2005 Aug; 14(8):777-91 (PMID: 15700301) (Impact factor: 2.01)
私の研究は、インフルエンザ・ワクチン接種並びに接種時期の決定要因として患者の時間費用(診療所への移動時間等)が大きな役割を果たしていることを、全米を代表するサンプルで実証的に示した最初の研究である。本研究のサンプルは、米国で唯一の公的皆保険制度であるMedicare(65歳以上の全国民対象)のレセプトデータと調査データを突合したMedicare Current Beneficiary Survey (MCBS) Data(加重サンプルが3千万人以上のいわゆるビッグデータ)から抽出した。医療分野と経済学分野それぞれの代表的なデータベースである。MedlineとEconlitの両方に含まれる学術誌の数は非常に少なく、本研究が掲載された2005年では3誌のみ。この3誌の一つが、本研究の掲載誌(1992年発刊;Impact factor: 2.03;Health Policy & Services分野の62学術誌中のランキング15位;経済学分野の320学術誌中のランキング36位))である。米国のトップスクールで医療経済学専門のTenure Track Assistant Professorとして採用されるためには、これら3誌に掲載された論文が2本以上必要である。私は幸いその条件を満たしていたお陰で、医療経済学の泰斗であるPhelps教授が、Rochester大学に創設した医療政策学のプログラムに医療経済学専門のTenure Track Assistant Professorとして採用された。
Yoo BK, Bhattacharya J, McDonald KM, Garber AM, “Impacts of Informal Caregiver Availability on Long-term Care Expenditures in OECD Countries,” Health Services Research, 2004 Dec; 39 (6 Pt 2):1971-92. (PMID: 15544640) (Impact factor: 2.49)
本研究は、家族介護の利用可能性が介護支出に及ぼす影響を、先進国(15ヵ国;1970年から2000年)に於いて、定量的に測定した最初の研究である。個人レベルで配偶者介護が利用可能であれば、介護支出を年間28,840ドル(1995年,米ドル)削減可能と推定した。Health Services Research (HSR) はAcademyHealth の公式ジャーナルであり、医療政策分野の全ジャーナルの中、インパクトファクターは4位であった。本論文掲載時にHSRは、ライフ・サイエンスと経済学、それぞれの分野で最も包括的なデータベースであるMedlineとEconlitに掲載されている中で最も高いインパクトファクターであった。
Review Articles
Akiyama M, Yoo BK (corresponding author), “A systematic review of the economic evaluation of telemedicine in Japan,” Journal of Preventive Medicine & Public Health, 2016;49:183-196 (PMID: 27499161) (Impact factor: 0.90)
本研究は、日本で実施された遠隔医療を対象にして経済効果分析結果を報告した17論文のレビューを行った。これらの17論文の研究の質の評価、並びにpublication biasを検証する為「費用対便益比」の Funnel plotも行った。レビューした論文の多くは、遠隔医療が望ましい経済効率を持つと結論付けているが、研究の質は高くない。筆頭著者の秋山美紀氏(現在、慶応大学環境情報学部教授)は、私がUC Davis勤務中に、訪問研究員として指導した。
Yoo BK, “How to improve influenza vaccination rates in the U.S.”, Journal of Preventive Medicine & Public Health, 2011; 44(4):141-148 (PMID: 21894062) (Impact factor: 0.90)
本研究は、先進国(特に米国)の季節性インフルエンザ予防接種率を改善するために有用な50本の文献のレビューをまとめた。これらの文献のうち6本の原著論文は、私が筆頭著者として出版したものである。また予防接種率の決定要因を4つ(患者、医療供給者、インフルエンザの流行、医療制度)に大別する理論モデルも提示した。
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